こんにちは。
強い勢いで、更なる円安への圧力が かかっている。
G.W.中の 4月29日と、5月1日または2日に、財務省による円安阻止の市場介入があったと観測されています。
このブログを書いている今、米ドル/円 は、156円80銭ほどです。
G.W. 前には 160.7円の瞬間がありましたから、介入には、円高に引き戻す一定程度の効果は出た状況だ
さて、今月の11日に、米国のベッセント財務長官が来るという。そして、首相、財務大臣、日銀総裁と相次いで個別に会談するのだとか。
ベッセント氏が わざわざ日本の財務金融の責任者に会いに来るというだけで、円安に 短期的な歯止め効果がありそうだ。
米国と日本政府当局は 円安を阻止したいという点で思惑が一致している状況と見られるが、ベッセント氏が わざわざ飛んでくるのは、他にも何か大事な話がありそうだ。
日本が円安を阻止したい理由:
円安が進むと、石油や食料品などの輸入品の価格が益々高騰し、インフレが加速する。(日本の食料自給率は38%程度で、世界有数の食料品輸入国です。 誰もあまり実感がないのが実態だ。)
こうなって来ると国民が物価高騰で音(ね) を上げるので、物価沈静化のために日銀は「政策金利」の引き上げを急がざるを得なくなる。
政策金利 (短期金利) が上がると「長期金利」(=長期の借金に対する金利) も必然的に上昇するので、政府が発行する国債(10年国債が中心)の利回りが上昇し、政府の国債費 ( 国債という名の借金の利息を返す費用) が 大きく膨らむので、現在の政府の収入(=歳入 と言う)では足りなくなる。
現在の歳入で足りないとなると、政府は 増税するか、新たに大量の赤字国債を増発するしか手がなくなり、国債増発は、新たな「返済の利息」の増大になり、それが毎年雪だるま式に膨らんで行く悪純化に陥って国の財政が成り立たなくなる。
(ちなみに 国は国債増発を伴って財政拡張を進めてもほとんど問題は起きないという「リフレ派」と呼ばれる人たちの意見もあるが、反対派との間でポジショントーク応酬の段階にあるため ここでは取り上げません。)
こうなると、財政拡張(景気対策としての国の支出の増加)を就任の方針として当選した 高市首相の考えは、景気対策が効果を出す遥か前に そもそも台所が苦しくなってしまい、首相方針は 頓挫する可能性もある。
加えて、円安を止めるための (日銀の)政策金利の引き上げは、若年層社会人の住宅ローンの変動金利の上昇から返済額の増加につながり、返済が苦しくなる家計が 出て来る。(返済額が増える以上に 給与収入が大幅に増えれば 話は別だが、皆が皆 そうも行かないだろう。)
また、設備投資の資金や運転資金を借りている中小企業の借金返済の利息が増大し、会社経営が立ち行かなくなるケースも増える(倒産が増える)。
こうしたことから、政府は、政策金利を引き上げたくないのだ。
一方で、政策金利を上げないと、インフレが益々進み、国民が物価高で音を上げる近未来が容易に予想される。 政策金利の据え置きも引き上げも、どちらに転んでも痛みがあり、日銀は、今ハムレットの心境に置かれている。
一般国民は、インフレ高進による物価高騰に耐えるか、住宅ローンの返済利息の増加に耐えるか、二者択一を迫られ始めている。あるいは家賃の高騰に耐えながらマイホームを諦めるかだ。
世論調査で 国民から政府への一番の要望に上がって来るのは「物価高対策」だ。生活が苦しくなって来ている国民を楽にする策の案として「消費税減税」の可否が議論されているのは、そのためだ。しかし、消費税を減税すると国の収入が減るので 政策のお金が足りなくなり、またまた赤字国債を増発するか、別の増税を実施するか、国民サービスを低下させるかの選択を 国は迫られる。 消費税減税は、本質的な対策には全くなっていない。
一方の米国は、まだまだ大きい対日貿易赤字を減らすため、ドル安(= つまり円高)を望んでいる。その点では 日本と利害が 一応一致していると思われる。
しかしながら一方で、「為替マーケットへの介入」という 日本の財務省の手法には、米国は手放しで歓迎していないということは、もう何年も前から指摘されて来た。
日本が(対ドルの)円安誘導するためには、ドルを売って円を買う必要があるが、売る「ドル」は実際には、外国為替特別会計にある「米国国債」だからだ。
米国債が市場で大量に売られると、米国債が値下がりして結果的に利回りが上がる。
それは、米国政府の利払いの費用が増大することになるため財政が厳しくなるため、米国債が売られることを米国政府は嫌がっている。
そういったことも、ベッセント氏の来日で非公式に話し合われる可能性がある。
さて、更に大きな絵を見ると、為替市場への政府の介入や、ベッセント氏の来日は、一時的には過度な円安の苦しみを和らげるかも知れないが、本質的には何も解決していない。
円安の根本的原因は、日本の産業力が、2000年過ぎから大きく弱体化してきたことだ。
それに加えて少子化(=人口減少)による労働力の縮小や 内需の縮小が、日本の産業力の低下に更に輪をかけている点も見逃せない。
根本的に円安を回避することは非常に難しくなっていて、長期では更なる円安進行(=高インフレの継続)が懸念される。
政府与党も、野党さえも、経済学のアカデミアも、産業界も、世界最弱通貨になったと言われ始めている「円」の価値を救う処方箋を なかなか見いだせていない状況。
さてどうするか....。



















