こんにちは。
今日は、先日の旅行ツアーの添乗員さんについて書いてみます。
最近は、添乗員さんを「ツアー・ダイレクター」と呼ぶ場合も増えて来ているようです。
本ブログでは 短い文字数の「添乗員さん」で進めます。
ツアーの添乗員さんと言えば、「当たりだった!、親切だった!」とか「ハズレだった。気が利かなかった!」などという感想が旅行後に飛び交うことも少なくないかと...。
ただ、そのような評価も、旅行参加者の「主観」にもよるので、その評価が当たっているかどうかは もちろん 別次元の話でしょう。
先日の筆者の南フランス旅行は、『Kさん』という方が添乗・同行してくださいましたが、『大当たり!』と思いました。 ちなみに Kさんは 日本 (千葉県) 在住の日本人。
Kさんの縦横無尽の活躍のトピックスをいくつか書きます。
1.語学力
Kさんはフランス語が非常に堪能でした。
現地では、移動は 「貸し切りバス」が中心でしたが、運転手はフランス語だけを話す現地の壮年のフランス人。 Kさんと仏人の運転手は 打合せしながらバスを進めます。
旅行参加者のバス座席は、だいたい1日交代で場所が変わりますが、私は前から3列目から5列目くらいに座ることが多く、案内ぶりを観察できる機会が多かった。なお私は、自慢ではありませんが、フランス語は 聴くことも 話すこともできません。
観察していると、運転席の仏人運転手と 1列目に座った添乗員のKさんは しょっちゅう会話していますが、お互いに、相手の言葉をキャッチできなくて 聞き直しているような様子は、まず全く無かった。 冗談を言い合って笑い声も聞こえる。
私は英米人と簡単な英会話を少しできる程度で よく相手に訊き返しますすが、運転手とKさんの間は、Kさんがネイティブ並みに話していて 淀みなく呼吸が合っていました。
Kさんのフランス語が堪能なおかげで、この旅がスムーズに進んだと実感したことが何度もありました。
旅の終盤、クロード・モネの家がある ジベルニー市 から パリに バスで入りましたが、ホテルはパリの新都心である「ラ・デファンス地区」にある。時刻は8時を回って、夏時間でも、日は徐々に陰ってくる。
ラ・デファンス地区は、日本の首都高のような高架道と地中トンネルが縫うように走っていて、地面の一般道が網の目のように存在して接続し、道路網が立体的で複雑です。一方通行も多い。色々な高さのビルが にょきにょき 生えていて、見通しも悪い。
加えて、工事中で「通行止」もしばしばで、ナビで平常時のルートを指示されても、工事の通行止めに遭遇すると 改めて幹線道路まで一旦出て、やり直しになります。
運転手のフレデリックさんは、ベテラン中のベテランで、パリ ----- ニース ---- ニーム間を しょっちゅう行ったり来たりしているらしいけれど、自宅はアビニョンに近い「ニーム市」だそうです。 さすがに、パリ / ラ・デファンスの 道の 最新の工事状況までは掴んでいない。
ラ・デファンス地区の中で、同じところをぐるぐると3度回ってしまう事態になりました。
どうやら、事前に把握していたルートが工事中に当たってしまい、またナビの示すルートも通れなかったことが原因のようだ。こうなっては、地域に詳しくなくフランス語がわからない日本人にはお手上げだ。
添乗員のKさんは、我々の宿舎ではない某ホテルの前でバスを降り、そのホテルの中まで行ってフロントで、(工事中道路を回避して 別のルートで) 目的のNホテルへの行き方を聴いてきたらしくて、その情報で ようやく無事に行き着くことができたのだ。
目的のホテルの エントランスに無事着けた時には、旅行者全員から、大きな拍手が湧き起こった。
ドライバーのフレデリックさんもホッとした表情だ。
2. 各地の街の隅々まで習熟
ツアー一行は、フランス国内の南から北まで 18箇所ほどの場所において、バスや列車を降りて徒歩で観光しました。
その全ての場所で Kさんは、現地ガイドのサポート無しで、一人で先導して案内してくれました。
プロだから案内先に通じていて当然なのだろうが、ある町や村に入ったら、その地域内の数スポットの見どころを、全部もれなく、かつ無駄なルートを一度も通ることなく、フランス人のサブガイドは誰も付いてないのに 全然迷うことなく やり直すことなく、どんなに細い路地裏・近道でも使って スタスタと導いてくれるのには 本当に脱帽しました。
想像ですが、今回のツアールートには、多分、下見と本番を合わせて数回は来ていて、近道も調べて、自分の行きつけの場所のように頭に入っているのだと思いました。
今回のツアーは、レンタカー無しで 電車などを使っての個人旅行では行きにくい場所を含んでいる感じがしていた。そういったポピュラーではない村の道まで詳しく、Kさんがツアーのコースの「企画開発」に関与していたのではないかと思うくらいでした。
3. 黒革の手帖
旅の行程は、徒歩観光中、食事中、ホテル滞在中などを除いては、バスでの移動です。
一区間のバス移動時間は、長くて4時間(←途中でトイレ休憩あり)、短い区間で1時間、平均すると1回あたり約2時間のバス乗車です。
無駄な移動時間のようにも思えますが、考えようによっては貴重なタイム。
1か所での徒歩観光はだいたい2時間 6〜7000歩くらいで、それを1日に2~3か所なので、時々足を休める必要あり。また、まだ5月とは言え、日中の最高気温が 32~33℃に達していたので、汗を拭いて身体を冷ますことも必要。ということで、移動しながらのバス内の休憩は大事でした。
何より貴重は、バス内で添乗員のKさんが、たった今 観光した土地を振り返り、また 次の目的地の 特徴 や 見どころ・場所としての歴史的背景 などを、見る前にたっぷりと解説してくれること。
Kさんは、大切そうに『黒革の手帖』を 時々鞄から出して座席で見て確認していました。
その手帖は、厚さ4センチくらいだろうか、3, 4 メートル離れているので文字は見えませんが、遠目にも情報がぎっしりと書き込まれていたようです。
想像するに、詳しい日程行程と 分刻みの時間配分などに加えて、訪れる地の情報 (案内や解説したい内容) などを、ぎっしりと書いたものに違いない。
ただKさんのバス内での解説は、そのメモを読み上げているようには聞こえず、すべて頭に入っていて スラスラ 出てくるように説明してくれていました。アドリブや個人的感想も入ってくるのが笑いを誘った。事前に時々手帖を見ていたのは、念のための「確認」でしょう。
1時間後に行く訪問地の ランドマーク(遺跡や城など)の説明や 関連する歴史イベント だけでなく、その土地の 気候風土、植生、農産物、住人の食べ物、現代の産業、その地域の民族や どこから来たのか などのこともよく知っていて(=調べてあって) 訪問前に興味を深める内容でした。それを聞いていると、 Kさん本人が ” 旅行が大好き、フランスが大好き ” でなければ とてもできないと思わせるものでした。
『黒革の手帖』は、大事な商売道具ですね。
4.食事のときの個別ドリンクの精算
ツアーに付いている食事の料金は、既に払い込んだ参加費の中に含まれています。
ところが含まれていないのは、食事毎に お客毎に個別に注文する「ドリンク代」です。
ソフトドリンク や ビール・ワインなど、種類も量も みんなバラバラ。
これの料金の精算をどうするか? 色んな方法があるでしょう。 参加者毎に ウェイターがチェック (伝票) を渡しておいて、ホテル・チャックアウトの際に 各自支払うとか。ただ ランチの場合は、泊りと関係が無いので、そうも行かない。 ホテルのチェックアウトの際に、大勢の人の支払いが フロントやレジで 一般のお客さん達と入り混じって発生するのは、バス出発の遅れにつながるので、添乗員としては避けたいところでしょう。
Kさんは、食事前のドリンクの注文を、Kさん自身が 各参加者から 日本語で受けて一覧表にしてまとめ、行く先々のレストランのウェイターに一括して渡していました。
食後の支払い・精算も、Kさんがウェイターに成り代わって、各テーブルに来て皆から集め、一括してレストランのキャシアーまで持って行って終わらせていました。
クレジットカード払いの人は、ウェイターが無線端末を その人のところに持って来て、カードを差し込んでやりました。その場合もKさんが同行して、「〇〇さんは、ローカルビアの ▢▢が2杯なので △△ユーロです。」といって きっちり確認してからのカード決済です。
ところで、ドリンクの名前をフランス語で聞いても、どんな飲み物なのか 参加者はわかりません。Kさんは、そのホテルが提供する飲み物が何種類あって、それぞれが どんな飲み物か、ほぼわかっていました。ビール (複数種)、赤ワイン、白ワイン、カクテル、リキュール、ソーダ、果実ジュース、ミネラルウォーター (ガス入り、ガス無し、硬水軟水) etc. etc.
ビールのグラスの大きさも、ジョッキ、中グラス、小グラス とあります。それぞれが どんなものか質問が飛んで来るので、前もって知っていないと 代行では注文は受けられないですよね。
店のウェイター達も、Kさんが精算支払いまで手伝ってくれるのを、既に当然のこととしている様子でした。こういう形で、レストランを 行きつけ的に半固定に決めておいて、その代わりに 多少の割引の団体契約価格にして貰って、旅行代金の抑制や会社の利益の確保に充てていることも想像できます。また少し遅れての到着でも 店に対して無理が効く場合もあるでしょう。
こうして、清算を日本語でスムーズに終わらせれば、バスの出発の時刻をスムーズにできる効果もあるのかと。観察していると、Kさん自身は、ほとんどランチをきちんと摂れていない様子で気の毒。
ジベルニーの「モネの家」に行く前には、Kさんは、「モネの家は混雑しているので、予約のグループ (団体) の 入場時刻には厳しいので、ランチの終了時間は すみませんが、予定通りでお願いします。」と何度もおっしゃっていました。
こうやってベテランの優秀な添乗員さんが居て、訪問先ぎっしりのツアーが やっと成り立つと思った次第です。
恐るべし、『黒革の手帖』...。
ではまた。



































































































































































