こんにちは。
たまに気分転換にデパートを覗くことがあります。 筆者の自宅から、電車でも車でも約30分の場所に一つ。 以前は2つありましたが、8年くらいまえに一つが閉業しました。
その デパート ビジネスですが、ここ7,8年、その姿がどんどん変わって来たと感じます。
このブログを書いている最中に、今度は、セブン&アイが、大手スーパーの 「イトーヨーカ堂」 (+ ヨークベニマル) の経営権の 半分以上を 年内にも売却するとのニュースも入ってきました。取扱商品が幅広く、大店舗を構える 総合スーパーも激動しています。 その話は別の機会に。
さて、百貨店事業は ずいぶん前から凋落ぶりが言われて来ましたが、直近では2016年あたりをピークに、各社とも業績の低迷が顕著になって来ているようです。(一部の 都市部の好調店舗 は別です)
特に、コロナ禍が日本を覆った2020年は、同じ小売業でも生活必需の食品類を扱うスーパーマーケットなどはまだ良かったですが、デパートは休店も長かったし、開店していても閑古鳥状態で、つぶれる店が多く出るのではないかと危ぶまれました。
その後、2022年あたりから、緊急事態宣言の解除や巣籠り疲れもあって、少しづつ客足が戻って、今年2024年はコロナ前とそう変わらずに賑わっている状態に見えます。ただ、インバウンドで賑わう大都市中心部の 個別店舗の好調は例外として、百貨店会社全体の経営成績としては、隆盛期の状態には戻っていないでしょう。
筆者の家に一番近いデパートも、コロナ禍の少し前あたりから、存続の対策として店の内部の様子がどんどん変化した気がします。
どう変わったかと言うと、
①直営売場部分の比率がかなり減って、「専門店への場所貸し業態」の面積が大きく拡大。大家さんとして生きていく方が、ずっと採算性が良いのかも知れない。
②迎え入れる専門店のブランドが変化。
以前はイメージを気にして入れなかったディスカウントストアが普通に入る時代に。
例えば、10年前には考えられなかった ユニクロ、OKストア、百円均一ショップが、むしろ客寄せの目玉店舗になっていたりする。都区内であっても振るわない百貨店は少なくなく、そごう西武が外資系に入り、池袋西武店にヨドバシカメラが同居する計画に対して賛美両論が巻き起こった現象は記憶に新しいところです。
③金融事業に積極的に乗り出している。
例えば、顧客への「融資事業」、投資信託などの「金融商品の販売」など。
①②③いずれも、社会全体の変化を反映していると考えられます。
・「よろず屋」より、「一芸に秀でた店」が数店並んでいる方が、得意のジャンルの商品バラエティが広くて、しかも価格もリーズナブルな場合も。
ヨーカドーなどのスーパー事業の(食品売り場以外の) 苦境も、根っこは同じか。
生鮮品以外の あらゆるジャンルの競争相手は、もはや ネット事業者になりました。
・伝統的な金融機関以外から、多数の大手企業がなんらかの金融業へ参入して来る時代。例えば、
●通信業:ソフトバンク&Paypay、NTTドコモ、au(KDDI)、楽天銀行/証券
●スーパー:7&i の セブン銀行、イオンのイオン銀行
●鉄道会社: JR東のJREバンク
etc., etc.
挙げ始めたらキリが無いくらいです。
デパートは、一定の囲い込んだお得意様群が存在するでしょうから、どこかの大手金融業者とバックで提携して、定常的なコストを増やさない範囲でやれば、何らかの金融業もトントンまでは行くかも知れません。
一方で、現在の形での物販業での生き残りは、これからも なかなか厳しいかも知れません。
<追い風>
・海外の富裕なインバウンド旅行者の増加(恩恵は都心と観光地等 限定的)
・比較的価格帯の高いスイーツ(和洋菓子)の売り場の人気継続
・駅チカに広いフロアを持っている強みを生かした「大家さん (フロア貸し) 事業」は手堅い
<向かい風>
・全般的な人口減少
・消費者の可処分所得の伸び悩み
・ネットショップ勢の更なる高品質化・利便化
デパートは、とりあえずコロナからの正常化とインバウンドの回復で一息ついているとは思いますが、先行きは 順風満帆とは なかなか単純には行かないと推測。
とは言え、家から近い百貨店が閉店というニュースを 聞くのは、この先もやはり淋しいものです。
都心部以外の店舗も含め、何とか生き残りの道を探って欲しいです。
ではまた。